ぎょおっとした人々①
少し前コールセンターで短期のバイトをしていた。コミュ障が少しでも改善されればと思ったが甘かった。顔が見えないから不備があれば口汚くののしる人たち。話を聞いたあげく自己解決して電話を切る人。まずパソコンの立ち上げの説明に時間が1時間かかり本題になかなか移れない人など様々だった。
精神的に摩耗していたある日、自習の日となった。今日はこれで電話のなる恐怖から解放されると思っていたが隣の人の様子がなんかおかしい。
50過ぎのおっさんが、皆が業務の勉強をしている中一人だけそわそわして
上着を脱いだり来たり椅子を回転させるなどしている。落ち着かない。
毎日自分の席はシャッフルされるがこの方の近くになったことはないため私は警戒した。絶対に関わらないようにしようと心に決めた。
しかし夕方、唐突に向こうから話しかけてきた。早く会話を終わらせたかったので「そうですね」など続かない工夫をしていたがしびれを切らしたおっさんがこんなことを言い出した。「お隣になった方と色々お話しするのが好きで、kurogane さんともおしゃべりしたい。これを見てください・エクセルに今までお話ししてきた人の顔と内容を記録しているんですよ!あなたのアバターも作ってみました!」
ここで血の気が引き思わず相手のpcを見ると、エクセルの表ツールを駆使して部屋内の見取り図と、そこに座っている人のアバターが表示されていた。☺
髪の長い人、短い人、容姿も含めどれも本人そっくりに作りこんでいた。そして、近くに座った人の会話を余った余白に記入して楽しんでいるのだという。
私の分はまだ空白だから、是非話したいだそうだ。なかなかショッキングである。アバターの一つを指さし、「この方お話面白いんですよ。アメリカで起業して社長やってたんだけどうまくいかず帰国したんですって」と嬉々として個人情報を垂れ流す。知らんし怖いし、そもそも派遣先のExcel勝手に使うなし。と様々な感情が一気に沸いたが恐怖で頭がしびれたようになり「ハハッすごいですね」と乾いた感想が漏れた。(^^)/
あからさまにその後距離を取り自分からは何もしゃべらずこっちの気持ちが伝わったのか、休み時間に大量の菓子を持らったが食べる気になれなかった。相手をしないと察するとその後は見回りに来ているリーダー役の人に延々と雑談を仕掛けていた。嘘でもいいから勉強する振りしたほうがいいんでない...?
その後、彼と近くの席になったことはない。